ワンルーム規制から逃げるか、向かい合うか、それが問題だ
都心で一棟収益物件を新築するときに必ず直面するのが、いわゆるワンルームマンション規制です。区の条例で規制されている場合もあれば、指導要綱にとどめられている場合もありますが、指導要綱だから無視していいというわけではありませんので、同じです(違うという人もいるようですが、コンプラを無視した建築をすると、道義上の問題のみならず、売却するときに差し支えたりしますから、私はやりません)。
このワンルーム規制は区によっていろいろ細かい違いがあり、①対象規模(何戸以上から規制されるか、総戸数で見るかワンルーム戸数で見るか)、②規制されるときの最低面積(25㎡がほとんどだが若干例外あり)、③ファミリータイプ住戸の設置義務があるかどうか、④駐車場、駐輪場、管理室などの施設付設義務があるか、等がいろいろ違います。
この豊島区の「23区における集合住宅条例等の比較(ワンルームマンション関連)一覧」がよくまとまっていると思います。ただしこれは平成30年(2018年)7月時点の情報なので変わっていることも多いです。たとえば品川区は令和2年(2020年)11月から規制が強化され、20㎡以上であった最低面積が25㎡以上になるなどしていますので、要注意です。
https://www.city.toshima.lg.jp/100/kuse/shingi/kaigichiran/006471/documents/h30shiryou2-3.pdf
ワンルーム規制にかかると、最低面積が25㎡になり、管理室など家賃を取れない施設でレンタブル面積も削減されます。25㎡の1Kは、17㎡の1Kより間違いなく家賃は高く取れますが、1.5倍取るのは難しいですから、投資効率も下がります。従って、個人投資家の一棟収益物件はワンルーム規制がかからないギリギリのところで作る(たとえば3階建て9戸とか4階建て14戸とか)というのがある意味スタンダードになっているようです。
「ワンルーム規制から逃げて作る」のは投資効率の観点ではひとつの正解と思いますし、資金力がない個人投資家がデベやREITなどプロに立ち向かうための武器であると思います。大手がそんなマンションを作ってくることはないでしょうから、土地の仕入れでも競合しないというメリットはあると思います。ただ、私はそれが唯一の正解であるとは思いません。
ワンルーム規制から逃げて作る14戸のマンションは、
① 建築面積が小さくなるので、建築坪単価が高くなる。
② 長期的には住戸面積は拡大傾向にあるので、狭小住戸を貸すのは長期的には難しくなる可能性がある。
③ 1棟あたり2-3億円くらいが限界なので、規模を追求するためには建て続けなければならない。
という問題があると思うのです。
逆に、ワンルーム規制に向かい合って作られたマンションは、住戸は大型化しますし投資への資金力も必要ですが、建築坪単価を下げることもでき、長期的な資産価値も高いはずですから、本当のゴールはそちらにあると思っても過言ではないでしょう。
とはいえ、新築RC初心者である私がいきなり1棟5-10億円の物件の構想をするのは無理があると思いますし、土地の仕入れを間違えたり建築業者の選定をミスしたりする投資リスクも高くなりますから、まずは小さめな物件で経験を積みつつ、最終的には大物を狙いたいというのが私の野望です。。(大上段な話なのにせこい結論ですみません)